採用にかかる見えないコスト、最もコスパの良い採用戦略とは
「とにかく人を採りたい」「早く雇いたい」
企業を成長させたい、ビジネスを軌道に乗せたい
と願う経営者にとって、人材確保は避けては通れない最優先課題です。
しかし、多くの採用支援に携わってきた社会保険労務士としてお伝えしたいのは、
「採用」よりも先に「定着」を盤石にすることこそが、
企業成長への最短ルートであるという事実です。
多くの経営者が直面する「採用」の空回り

成長意欲の高い経営者ほど、「人が増えれば売上が上がる」と考えがちです。
しかし現実に目を向けると、
せっかく採用活動をしているそばから既存の社員が辞めていくという、
極めてコストパフォーマンスの悪い状況に陥っているケースが多々あります。
採用には、目に見える以上の膨大なコストが投じられています。
直接的な費用:
求人広告費や紹介料。
都内であれば、一人採用するだけで100万円程度は平気でかかります。
「見えない」人件費:
経営者や人事担当者が、
時給(自分の時間)を使って求人票を書き、
連絡を取り、面談の日程を組み、実際に面談を行う時間。
これらをまとめると採用コストはとんでもない金額になります。
教育の不確実性:
やっとの思いで採用しても、即戦力として機能するまでには時間がかかります。
中途採用であっても、すぐに戦力化するのは容易ではありません。
これだけの投資をして入社した社員がすぐに辞めてしまう状態は、
まさに「底の抜けたザル」で水を汲んでいるようなものです。
これでは組織に知見が溜まらず、企業成長は常に足踏み状態となってしまいます。
焦りから陥る「間違った解決策」

「人が採れない」「定着しない」という問題に直面したとき、
多くの経営者が真っ先に考えるのは次のような対策です。
給与の上乗せ:
「他社より給与を上げないと人は来ない」と、無理な昇給を検討する。
制度の形だけの充実:
採用専門家の「今どきこんな制度がないと選ばれません」という言葉に踊らされ、
パタパタと福利厚生をいじる。
もちろん、これらが一理あるのは事実です。
しかし、社内の実態が伴わないまま外見だけを整えるのは、非常に危険な失敗パターンです。
なぜなら、中小企業の社員は、
社長や人事が何をやっているかを実によく見ているからです。
外から新しい人を連れてくることばかりに躍起になり、
高条件を提示している裏で、今いる社員をないがしろにしていませんか?
「私たち、大事にされていないのではないか」
既存社員がそう感じた瞬間、彼らは密かに「退職活動」を始めます。
今よりも自分を大事にしてくれる場所、
自分のスキルを正当に評価してくれる場所、
自分の居場所がある会社を探し始めてしまうのです。
本当の解決方法は既存社員を「最高の資産」に変える

企業が持続的に成長するための真の解決策は、
採用活動そのものではなく、
「今いる社員が働き続けたい、ここで頑張りたい」
そう思える環境を作ることにあります。
今戦力として支えてくれている社員、
彼らにこれまでかけてきた採用コスト、教育コスト、そして共に過ごした時間。
これを新しい採用コストと天秤にかけてみてください。
どちらが会社にとって重要で、どちらに居続けてほしいかは明白なはずです。
定着を最優先することで、企業成長には次のような好循環が生まれます。
採用コストの劇的な削減:
離職が減れば、無駄な広告費や工数を投じる必要がなくなります。
リファラル(紹介)による良質な採用:
「うちの会社、働きやすいよ」と社員が誇りを持って友人に話せるようになれば、
紹介によって新しい人材が集まります。
ミスマッチの防止:
実際に働いている人の紹介で来る人材は、
内部事情を理解しているため定着率が高く、間違いが少なくなります。
まとめ:企業が成長するために、今すべきこと

「いい人が採れない」というのは一つの真実かもしれませんが、
「今いるいい人が辞めていく」ことの方が、
会社にとっては遥かに大きなリスクであり損失です。
採用に力を入れるのも大事ですが、まずは隣にいる社員、
今頑張ってくれている社員を大切にし、定着していただくこと。
これこそが、実は最も効率的で確実な「採用戦略」なのです。
自社の組織が今どうなっているのか。
社員から見て「大切にされている」と実感できる場所になっているか。
その目線で社内を見直すことで、採用に対する考え方、
そして会社全体の成長スピードは大きく変わります。
この問いに向き合うことが、理想の高みへ昇るための第一歩なのです。
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